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著者:三島由紀夫
タイトル:真夏の死
出版社:新潮文庫
三島自選による第二短編集。
愛すべき者が死に、生き残った人間に救いはあるか。
人生の切実なテーマを、あらゆる手法で描いた傑作。
伊豆今井浜で実際に起った水死事故を下敷きに、
苛酷な宿命とそれを克服した後にやってくる虚しさの
意味を作品化した「真夏の死」をはじめ、
文壇へのデビュー作ともいうべき「煙草」、
レスビアニズム小説の先駆的な作品「春子」、
戦後の少年少女の風俗に取材した作品等、
短編小説の方法論と技術的実験に充ちた11編を、
著者自身の解説を付して収める。
著者の言葉
旧作を読み返しておどろかれるのは、少年時代、
幼年時代の思い出、その追憶の感覚的真実、
幾多の小さなエピソードの記憶等が、
少なくとも二十代の終り近くまでは実によく保たれていたということである。
それらを一切失わせたのは、一つには年齢と、
一つには社会生活の繁忙とであろう。
きめこまやかな過去の感覚的記憶を玩弄していられるには、
肉体的不健康が必要であり、(プルウストを見よ! )、
健康体はそのような記憶に適しないのであろう。
(「解説」より)
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